韓国市場への参入検討において、市場調査の外部委託を考える日本企業は増えています。しかし、発注前に必要な準備を怠ると「高いお金を払ったのに意思決定に使えないレポートが届いた」という事態になりかねません。市場調査は目的・手法・対象・分析フレームの設計が出来栄えを9割決めると言っても過言ではありません。本記事では、外部委託の前に必ず確認すべき5つのポイントを、実際の失敗事例を踏まえながら解説します。

 

ポイント1:「調査目的」と「意思決定への紐付け」を先に言語化する

調査の最大の失敗原因は、発注段階での目的の曖昧さです。「韓国市場を調べてください」という依頼では、調査会社は広範なデータを集めるだけになります。

発注前に自分自身が答えるべき問いは以下の3つです。①この調査結果をもとに、具体的にどんな意思決定を行うのか。②調査の結果、「進出する」になる条件は何か。「進出しない」になる条件は何か。③現時点で最も不確実・不安な仮説は何か。この3つを言語化した上でリサーチ会社に共有すると、提案の質が飛躍的に向上します。

 

ポイント2:定性調査と定量調査の違いと組み合わせ方

定量調査(정량 조사)はアンケート等で「何%が・いくらを・何回」といった傾向を把握するのに適しています。一方、定性調査はグループインタビュー(FGI)・個別インタビュー(デプス)・エスノグラフィーなどで「なぜそうなのか」の理由・動機・感情を深掘りするのに向いています。

意思決定の精度を高めるには両者の組み合わせが有効です。例えば「まず定性で仮説を立て、定量で検証する」というシーケンシャルデザインや、「定量で傾向を掴み、定性で解釈を深める」説明的シーケンシャルデザインが一般的な組み合わせです。予算制約がある場合、まず定性から入り、経営判断に必要な仮説を絞った後に定量を実施するアプローチが費用対効果の観点から推奨されます。

 

ポイント3:現地ネットワーク・現地実施能力の確認

日本国内から韓国向け調査を行う会社と、ソウル・釜山等の現地に拠点を持つ会社では、情報の精度とリアリティが大きく異なります。特に以下の点は確認必須です。

  • 現地インタビュー対象者リクルーティングが自社ネットワークでできるか、外部パネル会社依存か
  • 店頭調査・観察調査が実施可能か
  • 公信力ある現地データソースへのアクセスがあるか(統計庁・KOSA・aT・KOTRA等の一次データ)
  • レポートが韓国語ネイティブ水準の品質で作成・分析されているか

ポイント4:個人情報保護法(개인정보 보호법)との整合性

韓国の개인정보 보호법(個人情報保護法)は日本のそれよりも厳格な規制が多く、特に機微情報・固有識別情報の収集・処理には別途の同意が必要です。オンラインアンケートやインタビューで収集した回答者データの保管・廃棄に関する契約上の規定を確認してください。

また、NDA(비밀유지계약서)は発注前締結が原則です。競合他社への情報漏洩リスクを契約上コントロールする仕組みが整っているかを必ず確認しましょう。

 

ポイント5:調査結果の「使い方」まで設計する

最もよくある失敗パターンのひとつが、「調査レポートは完成したが、社内で誰もどう使えばいいかわからない」という状況です。特に調査のステークホルダーが経営陣の場合、データの羅列ではなく「だから何か(SO WHAT)」の経営インサイト化が求められます。

発注の際は、レポートのアウトプット形式(エグゼクティブサマリー・データ集・プレゼン資料)と、報告の相手(経営会議・営業部門・商品開発部門)を事前に明示し、調査会社に期待する解釈の深さを共有することが重要です。単純なデータ集計ではなく戦略的提言まで求める場合は、別途費用協議が一般的です。

 


コリアリサーチは現地ネットワークと日本語対応力を兼ね備えた韓国市場調査の専門機関です。調査の企画・設計段階からご相談いただくことで、意思決定に直結する調査設計をご提案します。初回相談は無料です。まずはお問い合わせください。

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