韓国現地法人を設立した後、多くの日本企業が最初に直面する課題が「優秀な現地スタッフの採用」です。韓国の労働市場は高学歴・高スキル人材の豊富さが特徴ですが、同時に雇用規制の厳格さ・퇴직금(退職金)制度・52時間労働上限といった独自の制度的制約も伴います。本記事では韓国の採用市場の現状・採用手法・雇用管理上の注意点を、実務的な観点から解説します。

 

韓国の採用市場の現状(2026年版)

2024〜2026年の韓国労働市場は、IT・デジタルマーケティング・バイオ・2次電池・半導体分野での人材需給が特に逼迫しています。大企業志向が依然として根強く、中小・中堅企業や外資系企業は大企業との人材確保競争に直面しています。

一方、外資系企業はグローバルキャリア・合理的な組織文化・日本語活用可能性を求める人材には一定の魅力があります。特に日本事業に関わるロールは、日本語堪能者の数が限られるため採用競争が比較的緩やかです。

 

主要採用チャネルと活用のコツ

사람인(サラムイン)・잡코리아(ジョブコリア)

韓国の2大求人媒体は사람인(www.saramin.co.kr)と잡코리아(www.jobkorea.co.kr)です。両媒体合計で月間利用者が数百万人規模であり、大多数の採用活動の起点となります。ただし、大量応募があっても履歴書の質のばらつきが大きく、書類選考に工数がかかります。JD(Job Description)の品質が応募者の質に直結するため、具体的な業務内容と求める能力の明確な記載が必要です。

링크드인(LinkedIn)とヘッドハンティング

中・上位職の採用はLinkedInとヘッドハンティング会社の活用が一般的です。外資系企業のチームリーダー以上は特にLinkedInおよびヘッドハンター経由の採用案件が多いです。ヘッドハンティング会社への報酬は採用人材の年収の20〜30%が相場です。

 

労働法上の重要事項

근로계약서(雇用契約書)の必須記載事項

근로기준법(労働基準法)第17条では、雇用開始前に雇用契約書を書面で交付することが義務付けられています。必須記載事項は①임금(賃金)、②소정근로시간(所定労働時間)、③휴일(休日)、④연차유급휴가(年次有給休暇)、⑤취업의 장소 및 종사할 업무(勤務場所と業務内容)です。電子文書での締結も認められています。

주52시간제(週52時間制)の厳守

2021年から5人以上の事業所に完全適用された週52時間制は、法定労働時間40時間+延長労働12時間の上限です。違反は2年以下の懲役または2,000万ウォン以下の罰金の対象です。外資系法人も例外なく、労働時間管理システムの導入が実務的に必要です。

퇴직연금(退職年金)制度

韓国では1年以上勤続した全労働者に退職金の支払いが法律上義務付けられています。2005年以降、退職年金制度への移行が推奨されており、確定給付型(DB型)か確定拠出型(DC型)かを選択した上で積立管理が必要です。DC型の場合、毎年年間賃金総額の1/12以上を積み立てる必要があります。

 

日本語人材の採用戦略

日本語堪能者は通常、韓国語・日本語・英語の3か国語を扱える高付加価値人材として評価されます。採用の際は単純通訳・翻訳業務だけでなく、日本担当営業・日韓プロジェクトマネジメント・韓国現地化ストラテジストとしてのロール設計を行うと、優秀な人材の応募が増えます。

 


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