韓国の食品・飲料市場は近年、健康志向・環境意識・利便性追求という3つのトレンドが重なり合い、急速に変化しています。韓国農水産食品流通公社(aT)の統計によると、2024年の韓国食品市場規模は約230兆ウォン(約25兆円)に達し、2025年以降も年率3〜5%の成長が見込まれています。日本企業にとって、この市場は単なる「輸出先」ではなく、戦略的に参入することで中長期的なブランド構築が可能な市場です。本記事では市場動向・参入チャンス・規制対応・流通チャネルを実務目線で解説します。
韓国食品市場の最新トレンド3選
① 저당(低糖)・저칼로리(低カロリー)ブームの持続
2023年頃から本格化した低糖・低カロリートレンドは2026年現在も衰えを見せていません。特に20〜40代の消費者を中心に、飲料・スナック・乳製品カテゴリでの「제로(ゼロ)」表示商品への需要が激増しています。コンビニ大手CUおよびGS25の内部データでは、ゼロシュガー飲料の売上が2022年比で3倍以上に成長したことが報告されています。日本の飲料メーカーや製菓企業が開発してきたゼロ系・機能性食品の技術力は、この領域でそのまま強みになります。
② 비건(ヴィーガン)・植物性タンパク質市場の台頭
韓国では仏教的精進食文化(사찰음식)を背景に、植物性食品への親和性があります。近年は健康志向・環境意識の高まりから、ヴィーガン認証取得製品やプラントベースフードが急成長しています。韓国ヴィーガン協会の認証制度は年々厳格化されており、認証取得自体がブランド信頼性の指標として機能しています。日本メーカーの場合、だし文化や発酵技術を活かした「和風ヴィーガン」というニッチは競合が少なく、差別化余地があります。
③ 간편식(HMR)市場の拡大と品質高度化
韓国の1人・2人世帯比率は2024年に全世帯の約65%を超え、간편식(Home Meal Replacement:簡便食)市場は年間8〜10%の成長を続けています。かつては安価な即席食品のイメージだったHMRは、現在では「집밥(家庭の味)を再現した高品質・本格的な食事」へとポジションが変化しています。冷凍食品・レトルト・調理キットの各カテゴリで価格帯が上昇しており、日本の冷凍技術・レトルト技術が活きる領域です。
日本ブランドが韓国食品市場で持つ競争優位
韓国消費者の日本食品に対する評価は「안전하다(安全である)」「정직하다(正直である)」「맛있다(おいしい)」の3点に集約されます。これは韓国産・中国産食品に対する安全性不安が一部の消費者層に根強いことと表裏一体であり、日本ブランドが正しくコミュニケーションすれば長期的な信頼を獲得できます。
一方で、「日本製だから売れる」という時代は終わっています。韓国の食品輸入額に占める日本のシェアは2023年時点で約4.2%であり、ASEANや中国、米国系ブランドとの競合は激しいです。商品力・価格競争力・現地化されたコミュニケーション設計が必要です。
参入前に必ず確認すべき規制・認証
食品衛生法(식품위생법)に基づく輸入申告
韓国に食品を輸出する場合、輸入業者が食品医薬品安全処(MFDS:식품의약품안전처)に対して輸入申告を行う必要があります。初回輸入品は精密検査の対象となることが多く、書類準備から通関まで2〜4週間かかるケースもあります。輸入申告書・成分表・製造工程説明書・原産地証明書・衛生証明書が一般的な必要書類です。
韓国語表示義務(한국어 표시)
韓国内で販売する食品はすべて韓国語での表示が義務付けられています。必須表示事項は①製品名、②原材料名・含量、③製造年月日・消費期限または品質維持期限、④製造者・輸入業者情報、⑤保存方法、⑥영양성분표(栄養成分表)です。特にアレルゲン22品目の表示要件は日本の7品目(推奨含む28品目)と異なるため、現地法規に基づいた確認が必要です。
機能性食品(건강기능식품)の特別規制
日本の機能性表示食品・特定保健用食品に相当する「건강기능식품」は、MFDSによる個別認定または規格基準型の承認が必要で、一般食品とは別のレーン規制が適用されます。日本の既承認機能性を韓国でそのまま主張できない点は特に注意が必要です。
主要流通チャネルと参入戦略
韓国の食品流通は大型マート(이마트・롯데마트・홈플러스)、편의점(CU・GS25・7-Eleven)、온라인(쿠팡・네이버 스마트스토어)、전문식품점の4つが主軸です。
日本の食品ブランドが初めて参入する場合、リスクを抑えたアプローチとして「クーパン로켓그로스(Fulfilled by Coupang)」を活用したEC参入が有効です。最小ロットが比較的少なく、売れ行きをテストしながら在庫リスクを管理できます。一方、오프라인(オフライン)での認知構築には편의점のコラボ商品や季節限定展開が効果的で、露出費用対効果が高い手法です。
コリアリサーチでは、食品・飲料カテゴリに特化した韓国市場調査(競合分析・消費者インタビュー・現地価格調査)から、輸入申告支援・流通パートナー紹介まで一貫してサポートしています。まずは無料相談よりお問い合わせください。